印刷の方法の違いとそれぞれのメリットデメリット(シルク印刷、オフセットフルカラー印刷、インクジェット印刷)

先日、こちらでタイベックのフルカラー印刷について書きました。

その後、いくつかお問合わせがあったのですが、印刷方法の違いについてご存知無い方が多いようですので、弊社が中国での商品作成においてよく使う印刷方法に関して、種類と各方法のメリットデメリットとサンプル作成時に必要な費用に関して簡単に紹介します。

目次

1.シルク印刷

1色毎に版を作り、インクをのせて刷って行く方法(ステンシルシートみたいなイメージです)。

大きな印刷機を使用したりするわけではなく、通常手作業で行われます。

メリット:小ロットでも安価に対応可能。

デメリット:版を作成する必要がある。グラデーション等の表現をだすのが難しい。多色使いの場合位置ずれが起こりやすく不良率が上がる。

サンプル作成時に必要なもの:色毎に版作成が必要(※弊社の場合、量産に入る場合は既に版があるので更に版代が追加でプラスになる事はありません)

向いているケース:1色使いの図案、名入れのみ等の場合。

シルク印刷作業風景

シルク印刷作業風景

上の写真で男性が持っているのが版です。指定の位置に置かれた生地を版の木枠を台に引っ掛けて、位置を固定させてからインクを塗っていきます。手作業なので、どうしても誤差が生じる場合もあります。

※2020年10月21日追記 中国のシルク印刷工場は自動になっていますw

2.オフセットカラー印刷

印刷機を作って一気に印刷する方法です。

メリット:カラー印刷で複雑な模様(グラデーション等)も鮮明に印刷可能。

デメリット:印刷機をいちいち設定させないといけないので、そのセットアップ費用が高い(中国語では開機費と言います)

サンプル作成時に必要なもの:データ処理(CMYK)と機械回すセットアップ費用(少量のサンプル作成と量産も設定する手間は同じなので、セットアップ費用は、サンプル時と量産時その都度必要です)。

向いているケース:カラーを含む複雑な図案の印刷。大量ロットの商品印刷。

印刷機

印刷機

こちらは、弊社で毎年作成をお手伝いしている3Dカレンダーの印刷立ち会いの時の写真です(詳細はこちら)。とにかく、印刷に入るまでの調整にすごく時間がかかります。色毎に版があり、それぞれのインクの出方等色を細かく調整するのに非常に時間がかかります。印刷自体にかかる時間は、1万部程度だとすぐなんですけど、印刷出来る状態になるまでの時間が長いです。タイベックのフルカラーもこのように印刷機械を使うので、セットアップ費用のためサンプル作成が必要な場合高くなります(2019年3月7日追記:デジタル印刷でのフルカラーも対応出来るようになったので、この場合は費用を抑えてフルカラー印刷が可能です。)

 

3.インクジェット(デジタル)印刷

プリンターのように、インクを吹き付けていくオンデマンドな印刷方法。

メリット:版等が不要で1個から手軽に印刷出来る。サンプル作成時に特に大きな費用が不要。

デメリット:大量ロットの場合、時間とコストが掛かりすぎる。生産時期毎に色を合わせるのが難しい事がある(気温等で同じ機械でも多少変化してしまう。)

サンプル作成時に必要なもの:印刷データのみで特に必要なものは無い。

向いているケース:数個単位の小ロットのものへの印刷。

4.昇華転写印刷

転写シートに印刷をして、それを白い生地にプレスし、熱でシート上のインクを生地に移していく方法です。

メリット:版が不要で小ロットから手軽にできる。サンプル作成時に大きな費用が不要

デメリット:熱でインクを映していくので商品ごとの色の統一が難しい。生地はポリエステル系のみなど移す材料によって出来ないものもある。

向いているケース:数個単位の小ロットのものへの印刷。

下は転写シートを出力している様子です。このシートを白い生地にプレスし熱を加えていきます。

 

作成する商品のロット数や状況によってお勧めする印刷方法が変わります。

そのほかに箔押しなど、色んな方法があります。

お気軽にお問い合わせ下さい。

お問い合わせ