タイベック®生地でオリジナル雑貨を作成する際の注意点。
タイベック®(Tyvek®)は、米国デュポン社が独自開発した高密度ポリエチレン不織布です。
見た目は紙のようですが、強度があり破れません。しかし、軽さは紙並みです。
防水ですが、通気性もあるという素材です。
防水性でありながら通気性もあり、強度もあって、紙のように薄い!という事で、日本ではハウスラッピング(建設中の建物の保護用)に使われている事が多いです。詳細に関しては、日本のタイベック生地の代理店である旭化成様のコチラのページを参照ください。
弊社は2005年に中国で会社を設立しました。最初は協力工場への委託生産のみでしたが、諸事情あり2008年頃に広州で自社の縫製工房を設置しました。当時ナショナルブランド各社がカジュアルなトートバッグを出しエコバッグが注目されました。その後10年以上、一番よく作っているのがエコバッグです。
ただ、近年私が日本に拠点に移す数年前から、日本に出張に来るたびに『生成りのトートバッグやエコバッグが溢れすぎ』で、面白くないなぁと思っていました。それで、前々から面白いなぁと思っていたタイベックの生地をHPで紹介しました。すると、興味を持って頂く事が多くなってきました。
それに伴い、色々と質問される事も多いので、タイベック生地でオリジナル雑貨を作成する際の注意事項を以下にまとめてみました。
目次
1.熱と摩擦に弱い。
基本的には不織布なので、熱と摩擦に弱いです。よって、転写で印刷する場合は低温転写でしかのりません。
シルク印刷をするには、自然乾燥で乾かすことになります。
ずっと使っていると若干毛羽立ってくるのも、不織布と同じです。
2.基本的に生地色は白のみ。他の色は印刷している。
色は基本的に白のみです。色んな色がありますが、それは白の生地に印刷して色をのせている事が多いです。
なので、シルク印刷する際は、注意が必要で、淡い色だと生地色がシルク印刷の印刷色に影響する事があります。
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このグレーの生地は、白い生地の上に黒のインクで印刷しているので、その上にシルク印刷すると、色によっては下生地の色(ここでは灰色)の影響を受けます。この場合はグレー+黒文字だったので綺麗にみえます。例えば、下の写真の赤のシルク印刷をこのグレーの生地にした場合は、赤の文字がどす黒い赤になりました。(※2017年11月17日追記:この印刷問題は大分改善されました。こちらの記事を参照下さい。)
※2019年9月19日追記
白い生地を染めているだけなので、表面が色付きでも裏面が白色になります。ただ、両面を染める事も可能です。生地色についてはこちらの記事タイベック生地の色見本を参照下さい。ここにも書いていますが、単に白生地上に色をのせて染めたものと更にその上に表面処理して色落ちしない生地等選択肢が増えてきました。
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ロゴの関係上、赤の発色が重視されたので、白の生地に印刷した案件です。どれくらい影響するのかは、実際テストしてみないと分からないです。
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低温転写にすれば、下の生地色の影響を受けずに印刷が可能ですが、コストが大幅にUPします。そして、やはり最終的には剥がれてくる可能性もあります。費用とデザインのバランスは、悩ましい所です。
※2017年6月12日追記。低温転写ではない方法でのフルカラー印刷も可能になりました。
※2024年5月8日追記:現在は、デジタル印刷もより簡単になりシート等もフルカラーで印刷できます。参考
3.タイベックは大きく分けて柔らかいタイプと硬いタイプ2種類。
下の4でも紹介しますが、厚みと質感でいくつか種類がありますが、大きく分けると2種類です。
柔らかいタイプ:防護服で使用されるソフトタイプ(弊社のセミオーダーのマルシェバッグ等はこちらの生地です)。
硬いタイプ:紙のようなタイプで洋服などは不向きで、雑貨に使用される事が多いです。例えば下記の商品は硬いタイプです。
4.タイベックは厚みや質感でいくつか種類があります。
我々が購入している業者さんは主に6種のタイプを扱っているそうで、生地のサンプルも手元にありますが、よく使用されていて、常に在庫があるのが、1443Rと1070の2種類のタイプだそうです。よって、我々は主にこの2種類の生地をお客様にお勧めしています。
柔らかい1443Rは価格が安く加工しやすいですが、印刷はしにくいです。硬い1070は紙のようです。
5.タイベックのインクは少し特殊
弊社では、一部タイベックの商品の無地在庫を自社で保有し、日本国内で名入れ印刷しています。
その印刷業者さんを選ぶ過程で分かった事ですが、タイベックのインクは少し特殊で、上記の1で述べた通り自然乾燥で乾かす必要があるので、実は対応できない業者さんが多いです。
一般的なコットンバッグなどは、印刷した後に熱を加えて短時間で乾かすことができるので、時間当たりにこなせる量が多いので、一枚あたりの印刷金額が低く抑えられます。ただ、タイベックは自然乾燥が必要なうえにインクが特殊だそうで、対応できて且つ色の対応をできるところは非常に少ないです。
弊社の利用している業者さんは塗装に強いところで、テストをしてもらったうえで、問題なかったんので工場の設備を確認しに現地にいきました。難しい素材にも印刷しているところなので、剥がれなどの問題は2021年の1月現在まで特に何も起こっていませんが、色のレパートリーが問題でした。今回、たくさんの色を使用できる業者さんを見つけたので、これからは国内の名入れ印刷ももう少しデザインの幅が広がりそうです。
以上、よく質問される内容を5つ挙げてみました。
お客様のデザインの商品をOEM生産している関係上、許可を頂いたお客様しかHP上でご紹介できません。
色々な商品を作成しておりますので、ご興味ある方はお問合せよろしくお願いします。
※2021年11月25日追記:良く作っている商品は、『オリジナルグッズ作成』のコーナーで、まとめて閲覧できるようにしました。タイベックの日本名入れアイテムもその中にあります。参考にして下さい。
※2024年5月8日追記:最近はタイベックの加工生地も多種多様なものが増えています。
例えば、下記のような不織布+タイベックで加工して、表面も型押ししたものや、金属ぽいモノなどです。最近、またタイベック関連のお問い合わせが増えてきたのでUPしてみました。